製品情報 / Product

ハイコースターPC-11

製品概略

ハイコースターPC-11は、コート紙のコーティング用澱粉接着剤として、特に精選された加工澱粉です。近年、コート紙業界では生産性の向上、乾燥エネルギーの低減、コート紙の品質向上を目的として塗料の高濃度化に関心が集められています。ハイコースターPC-11は、その冷水に簡単に溶解・糊化する、低粘度であるという特性を生かして、塗料の高濃度化による生産性の向上及び省エネルギー、作業性の簡素化、コート紙の品質向上を目的として開発した時代にマッチした新しいタイプの加工澱粉です。

ハイコースターPC-11の特徴

冷水可溶である

従来のコート紙用澱粉が95℃以上に加熱しなければ完全に糊化しないのに比べ、PC-11は冷水に簡単に溶解・糊化します。 但し、単独で水に溶解する場合には、分散時ダマになる恐れがありますので注意して下さい。顔料スラリーへ直接添加する場合には何ら支障はありません。

 

低粘度である

PC-11は従来品に比べて、かなり低粘度です。

 

作業性の簡素化

冷水に容易に溶解して糊化する為、従来品のように別に加熱糊化したり、酵素変性したりする必要がなく、 顔料スラリーの中へ直接粉末添加するだけで簡単に使用する事が出来ます。

 

乾燥エネルギーの低減

顔料スラリーへの粉末添加(従来品の糊化に要する水を無くする事が出来る)と、更に低粘度であるという性質から、塗料を高濃度化する事が出来ます。 エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター等の塗工機の種類や、製造しようとする紙の品種によって固形分濃度は変わりますが、 一般に従来の澱粉を用いた場合に比べて10%程度濃度を高くする事が出来ます。従って、紙の乾燥エネルギーを大幅に節約する事が出来、 省ネルギーになると共に生産性の向上につながります。

 

コート紙の品質向上

塗料の高濃度化とハイコースターPC-11の性質により、紙の品質が向上します。特に光沢、平滑度、印刷適性が向上します。

 

 

 

ハイコースターPC-11の一般性状

項目 性状
外観 白色又は帯微黄色粉末
水分 8%以下
粗蛋白 0.5%以下
粗灰分 0.5%以下
pH 6.5±0.5

 

 

 

 

ハイコースターPC-11の糊液粘度比較

表1 各種澱粉の糊液粘度

  PC-11 他社品S-1
(市販尿素燐酸澱粉)
20% 16 220
25% 32 700
30% 80 2560
35% 151 10000<
40% 337
45% 798
50% 1871

 

測定方法:PC-11 30℃-30分撹拌後、B型粘度計で測定
     S-1  95℃-30分加熱撹拌後、30℃まで冷却し、B型粘度計で測定

 

 

 

ハイコースターPC-11のコーティング塗料への適用

 

Ⅰ. 高濃度塗料調整方法

 

PC-11と従来品(市販尿素燐酸澱粉S-1)の塗料調製方法を下記に示します。PC-11は、 顔料スラリー中に直接粉末添加するのに対し、従来品は30%スラリーを95℃で30分加熱糊化してから添加しました。

 

従来法(他社品S-1使用)

 

 

PC-11塗料調整法

 

 

 

コーティング塗料組成比較表

 

表1

澱粉名 PC-11 従来品S-1
コーティング塗料組成
カオリンクレー 100 100
ポリアクリル酸ソーダ 0.2 0.2
43 43
澱粉 7(無水換算) 7(無水換算)
水(澱粉クッキング用) 15
ラテックス(SBR)
〔固形分48.6%〕
13(無水換算) 13(無水換算)
ステリアン酸カルシウム 1.5 1.5
エポキシ化合物(耐水化剤) 0.35 0.35
12
塗料の性質
固形分濃度(%) 67 58
pH〔アンモニウム水で調整後〕 9 9.2
B型粘度(mPa・S)〔60rpm、25℃〕 1500 2000
保水度(秒) 27 26

 

PC-11は、従来品の58%より9%高い濃度67%の塗料が出来ます。
しかも粘度が低く、塗工性も良好です。
熊谷理機工業(株)製の試験用高速機ブレードコーターを用いて塗工テストを行った結果(塗工速度600m/分)、PC-11は塗工ムラが出来なかったのに対して、 従来品では濃度を58%以上に上げると塗工ムラが発生しました。

 

 

 

Ⅱ. パイロットコーティングマシーンによる塗工テスト

 

塗工前原紙は市販上質紙(坪量65g/平方メートル)を使用しました。
塗工方法、塗工量、塗料の流動性等により、塗料の固形分を変化させ、各塗料について3000m塗工し、その後、塗工紙(紙水分7%)をスーパーカレンダーにかけました。

 

1.塗工条件

コーティングマシーン 小林製作所製パイロットマシーン
塗工方式 バーコーター及びエアーナイフ
機械幅 350mm
塗工速度 70m/分

 

2.スーパーカレンダー条件

スーパーカレンダー 由利ロール製試験機
ロール温度 55℃
線圧 100kg/cm
速度 30m/分
ニップ数 4

 

 

 

 

パイロットコーティングマシンによる塗工テストデータ

 

表2

紙の種類 軽量コート紙 コート紙
澱粉名 PC-11 従来品S-1 PC-11 S-1
コーティングカラーの組成
カオリン 70 70 70 70
炭酸カルシウム 30 30 30 30
ポリアクリル酸ソーダ 0.2 0.2 0.2 0.2
澱粉(無水換算) 7 7 7 7
ラテックス(SBR)
固形分48.6%
13
(無水換算)
13
(無水換算)
13
(無水換算)
13
(無水換算)
ステリアン酸カルシウム 1.5 1.5 1.5 1.5
エポキシ化合物 0.35 0.35 0.35 0.35
塗料の性質
固形分濃度(%) 60 52 50 45
pH 9.3 9.3 9.5 9.5
B型粘度(mPa・S)〔60rpm、25℃〕 500 520 90 150
ハーキュレス 高せん断粘度(mPa・S)〔8800rpm〕 30 22 10 11
塗工紙の物性
塗工量(g/㎡) 7 7 18 18
白色度(%) 82.5 82.3 82.5 81.4
不透明度(%) 88.6 87.8 91 90
平滑度(秒) 1000 680 4200 3000
透気度(秒) 2800 2100 7300 7200
光沢度(%) 55.3 33.6 71.1 64.1
K&N値(%) 22.3 21.8 11.1 10.9
IGTピック(cm/秒) 82 76.2 88.2 85
RIピック(wet),5段階評価 3.7 3.7 3.1 3
RIピック(dry),5段階評価 4 3.8 5 5
印刷光沢(S) 67.9 54.4 88.8 88.6
インキ濃度 1.66 1.65 1.81 1.8
ウェットラブ(%) 99 99 61 45.5

 

PC-11は粘度が低い為、従来品より固形分濃度を高くしても塗工可能であり、又、塗工紙の物性では特に平滑度、 光沢度が優れているのがわかります。紙の物性では特に平滑度、光沢度が優れているのがわかります。

 

 

 

Ⅲ. 印刷テスト

 

Ⅱ.の塗工紙でオフセット印刷を行いました。

試験場所 大日本インキ化学工業(株)グラフィックセンター
印刷機 ローランドレコードPZK3型2色機
テスト版 富士フィルム(株)GAP-II
インキ 大日本インキ(株)ニューチャンピオンスーパーApex Sタイプ
刷順 藍 → 紅
印刷速度 4000~5000枚/時間
印刷枚数 各3000枚
評価方法 100点満点 減点法
紙の種類 軽量コート紙 コート紙
澱粉名 PC-11 従来品S-1 PC-11 S-1
作業性                        (持ち点6)  
紙積み作業 0 0 0 0
フィーダー適性 0 0 0 0
湿し水量 0 0 -1 -1
インキ量 0 0 0 0
ピッキング発生状況                  (持ち点20)
第一胴 0 -2 -4 -2
第二胴 0 -2 -2 -4
紙粉                         (持ち点14)
フィーダー上残り 0 0 0 0
ブランケット残り -4 -4 -4 -2
インキローラー残り 0 0 0 0
印刷品質                       (持ち点50)
インキ着肉性 0 -15 -5 -20
網点再現 0 0 0 0
光沢 0 -7 2 2
その他                        (持ち点10)
インキセット時間 0 0 -2 -2
寸法安定性 -1 0 1 -1
排紙状態 0 0 0 0
総合評価 95 70 85 70

 

PC-11を用いたコート紙は、従来品と比較して印刷特性、特にインキ着肉性、印刷光沢が優れています。